Hellerピアノ社は1985年1月1日に設立されました。設立直後から高品質のアップライト・グランドピアノ用の巻線製造に特化し、その巻線は今日の登録商標Hellerbass®として成長しました。
1970・80年代には、ピアノメーカーBechstein社がハイデルベルク近郊でアップライト・グランドピアノの製造を行っていました。初代社長のヴァルター・へラーはBechsteinに木工職人として勤め、その後ピアノ職人となり、1981年にピアノ製作マイスターの資格を得ました。Bechsteinがベルリンに移転する際に独立し、1985年1月1日に自らのピアノ工房を設立したのです。当初工房は自宅の地下室でした。
ピアノの修理・販売、巻線事業は設立直後から好調で、息子のグレゴア・へラーは家業を手伝うため、財政・税政学を学んでいた大学を中退し父親の工房でピアノ職人の修行を始めました。その後、父と同じピアノ製作マイスターの試験に1995年に合格しました。
工房も1988年には自宅の隣の敷地に新たに建設しました。
Hellerピアノ社の企業哲学「高品質の製品は常に求められる」に忠実に、親子で会社を成長させシェアを伸ばしていきました。製造工程を常にチェックし、高品質を維持するよう細心の注意を払っています。
1986年に導入した巻線用の特性メジャーは、会社の更なる発展に大いに貢献しました。これはヒッチピンに引っ掛けられる玉の付いたメジャーで、お客様が元の弦を梱包し送付する手間が必要がなくなったのです。
Hellerピアノ社の巻線には、その卓越した品質を示すため黄色の“Hellerbass”のロゴの付いた透明なタグが付けられます。
1997年、60歳になったのを機にヴァルター・へラーは息子のグレゴアに社長のポストを譲りました。それ以降、グレゴアは国内外の展示会に積極的に出展しています。
また、ホームページの作成も製品をPRするのための重要な仕事です。最近ではFacebookページも開設し、様々な弦の素材や展示会などの情報を掲載しています。その甲斐があって、現在では98%の注文がE-mail、ウェブサイトの注文フォームから、またはFaxで届きます。
現在Hellerピアノ社では9人の社員が働いています。ドイツ内外でシェア60パーセントを誇り、数多くの修理工房やピアノメーカーにアップライト・グランドピアノ用の巻線を納入しています。
Hellerピアノ社は「ファミリー企業」であることを伝統として大切に考えています。現社長の妻、母、そして先代の父もなお同社で働いています。「ラッキーなことに・・・」とグレゴア・へラーは言います。「そのおかげで1年中、夏休みもなしに納入できるのです。そしてみんなのおかげで国内外の展示会やピアノ製作家の会議などに出席できるのです。」
孫のモーリッツ・へラーも家業を継承するため、2016年にピアノ職人の修行を始めることになっています。